フリーランスや個人事業主にとって、会計の知識は必要不可欠な要素です。
特に「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」は、事業のお金の流れを把握するうえで重要な財務諸表。
とはいえ、「名前は聞いたことがあるけど、違いがよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、貸借対照表と損益計算書の基本的な違いを、初心者向けにわかりやすく解説します。
私は簿記2級の資格を持っているので、会計の知識をわかりやすく説明できます。
ぜひ参考にしてください!
貸借対照表と損益計算書は決算書に重要な書類
フリーランスや個人事業主として活動していると、「お金の管理がうまくできない」「確定申告のときに何を見ればいいのかわからない」と悩むことがあるかもしれません。
そんなときに役立つのが「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」。
これらの財務諸表を理解することで、
「事業が今どれくらいの資産を持っているのか?」「利益がどれくらい出ているのか?」 を正しく把握できるようになります。
損益計算書と貸借対照表の2つは、個人事業主にとって重要な書類です。
それぞれの役割を詳しく解説します。
貸借対照表で事業の財務状況がわかる
- 貸借対照表(Balance Sheet)⇒
ある時点の資産、負債、純資産の状況を示すもの
簡単に言えば「事業がどんな財産を持っていて、どれくらい借金があるのか」が一目でわかります。
- 資産(借方):現金、売掛金、設備、在庫など
- 負債(貸方):借入金、買掛金など
- 純資産(貸方):資産から負債を差し引いた残り(自己資本)
- 手元に100万円の現金があり、銀行から50万円を借りている場合
貸借対照表(B/S) | 金額(万円) |
---|---|
資産(現金) | 100 |
負債(借入金) | 50 |
純資産(自己資本) | 50 |
このように、貸借対照表では「資産(現金)=負債(借入金)+純資産(自己資本)」 という関係が成り立ちます。
損益計算書で事業の経営成績がわかる
- 損益計算書(Profit and Loss Statement)⇒
一定期間の収益と費用を示すもの
損益計算書は「ある一定期間にどれくらいの売上があり、どれくらいの経費を使ったか、利益がどれだけ残ったか」を示す表。
フリーランス・個人事業主向けに簡略化すると、次のようにシンプルな形で計算できます。
- 売上−経費=事業所得(利益)
✅ 売上(収益)⇒
クライアントからの報酬やサービス・商品の販売収入
✅ 経費(費用)⇒
- 仕入れ費(物販の場合)
- 交通費・通信費
- 広告費
- 外注費(デザイン・ライターへの発注など)
- 家賃(自宅兼事務所の場合は按分)
- その他業務に関する支出
計算例:
月の売上が50万円、経費が10万円だった場合:
50万円−10万円=40万円が事業所得になる
フリーランスや個人事業主の場合、「営業利益=最終利益」 となることが多いです。
事業所得は、確定申告の書類に記載する金額になるわけです。
貸借対照表と損益計算書の違いをわかりやすく比較しました
貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の違いを、表にまとめると以下のようになります。
項目 | 貸借対照表(B/S) | 損益計算書(P/L) |
---|---|---|
何を表す? | 事業の財産の状況 | 事業の経営成績 |
いつの情報? | ある特定の時点 | 一定期間の情報 |
主な項目 | 資産、負債、純資産 | 売上、経費、利益 |
例 | 「現金が100万円ある」 | 「今月の利益は40万円」 |
貸借対照表は「今の事業の財産状況」を表すもの。
事業の資産や負債のバランスを把握し、長期的な計画を立てる際に重要です。
一方で、損益計算書は事業の成績を表すものと考えると分かりやすいでしょう。
フリーランスとして活動する場合、特に損益計算書は「毎月の売上・経費・利益」を確認するのに役立ちます。
フリーランス・個人事業主が知っておくべきポイント
フリーランスや個人事業主が事業の安定と継続のために重要なのが「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」の管理。
これらを活用することで、経営状況を正しく把握し、適切な対策を取ることができます。
貸借対照表で「資産」と「負債」のバランスを確認
- 資産が多い⇒
事業が安定している証拠 - 負債が多い⇒
借金が経営を圧迫するリスクあり
フリーランスでも、事業用の貯金(資産)や借入金(負債)のバランスを把握し、無理のない資金計画を立てることが大切です。
損益計算書で「売上」と「経費」を管理
- 「今月の売上はいくら?経費はいくら?」を常にチェック
- 赤字が続いていないか、経費がかかりすぎていないかを確認
毎月の利益を明確にし、無駄な支出を抑えることで、事業を長く続けるための資金繰りを安定させることができます。
経営をしっかり管理するためにも、貸借対照表と損益計算書を活用し、お金の流れを可視化することが重要です。
貸借対照表と損益計算書を活用するメリット
貸借対照表と損益計算書は、フリーランスや個人事業主の事業管理に役立つ重要な方法です。
貸借対照表と損益計算書を活用するメリットを簡単にまとめました
メリット | 内容 |
---|---|
①:お金の流れを可視化 | 財務諸表を作ることで売上・経費など一目で確認 |
②:事業の黒字・赤字がわかる | 損益計算書を見れば、黒字・赤字を瞬時に判断 |
③:事業成長の計画が立てやすい | 資産や売上の増加から今後の経営判断を簡素化できる |
最初は難しく感じるかもしれませんが、シンプルに考えればそれほど難しくありません。
ぜひ、事業の成長に活かしてみてください!
個人事業主は貸借対照表と損益計算書を作成すると節税対策に有効

貸借対照表と損益計算書は、確定申告や資金管理に役立つ重要な書類。
特に、青色申告で55万円または65万円の控除を受けるには、これらの書類の作成が必須です。
もし作成しない場合、受けられる控除は最大10万円までに減額されてしまいます。
また、65万円の控除を受けるためには、e-Taxでの申告または電子帳簿保存が必要。
適切に申告することで、節税メリットを最大限活かせます。
節税対策のためにも、貸借対照表と損益計算書を活用し、しっかりと財務管理を行いましょう!
まとめ:貸借対照表と損益計算書を知って資産管理できるようにしよう

貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)は、フリーランスや個人事業主が事業のお金を管理するうえで欠かせない財務諸表です。
貸借対照表は「事業の財産の状況」、一方で損益計算書は「一定期間の収益と費用」と簡単に理解しておけばOK。
ただし、簿記の知識や仕訳の経験がないと、作成には時間と手間がかかるのが難点です。
効率よく確定申告するためには、簿記の基礎知識を学んでおくとよいでしょう。
それぞれの役割は簿記3級の知識を理解することで、より効率的にお金の管理ができるようになります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえて日々の事業運営に役立ててみてください!
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